JAICの理念


これからの医療とケア

 昨今の医学の進歩は長寿という益をもたらしましたが、同時に慢性疾患は増え続け、人々は治らない病気や障がいと向き合いながら年を重ねることを余儀なくされるようになりました。

 かつて病院は病気を治すところでしたが、現在、病気は病院だけで治すものではなく、その予防や退院後の病状管理も重要であり、多様な治療法を主体的に選択することが極めて重要になって参りました。

 今後一層、日常生活を基盤にして一人ひとりの考え方が尊重される医療やケアが重要となり、そのための有益な情報を市民と医療の専門職が交換したり、互いの生き方を模索し共有したりする「場」が必要になると考えます。

 

JAICがめざすもの

 私たちは、生活と医療、市民と専門職、有益な情報と生き方の模索がリンクする場を提供する仕組みとしての「統合ケアモデル/ICM (the Integrated Care Model)」を社会に実現することを目指し、エンド・オブ・ライフケア継続看護マネジメントなどの学術的研究を基礎に、教育・研究・情報提供・交流の場づくりを行って参りました。

 ICMの実現のためには、今までの医療の専門教育に加えて、「一人ひとりの生活を基盤にした医療のあり方」「一人ひとりが個性的にして尊厳ある生き方ができること」を重視し実践できる保健・福祉・医療の専門家の育成が求められます。

 また、一人ひとりが主体的に自分自身の生活と治療について考えて選択できること、自分にとって必要な人との繋がりを創りだし相互の理解ができるコミュニティが増えること、そして、こうした生き方に価値を見いだせるような、ひとつの社会的な文化が醸成されることも重要であろうと思います。

 

設立への想い

 私たちは、今までに、大学における教育、市民講座、専門職の研修、学会や学術誌での研究発信を行って参りましたが、その過程で、社会のなかで新しいケアの仕組みが必要とされていると強く感じています。

 今後さらに、広く市民や専門職の方々にご理解とご支援を頂きながらネットワークを拡げ、活動の発展と新しいケアの文化の醸成のために、特定非営利活動法人Japan Academy of Integrated Care (JAIC) を設立いたしました。

(2016.4.16)